将来のお口の健康のために
できるだけ歯を残す
むし歯治療を
歯が痛い
歯の色が変色している
歯に穴があいている
上の前歯や奥歯が磨けていない
おやつの時間を決めていない
哺乳瓶で甘い飲み物を飲んでいる
仕上げ磨きができていない
定期検診に通っていない
子どもの歯は、むし歯の進行が早いです。痛みがないまま神経まで進行し、ある日突然痛みがでることもあります。むし歯になるリスクがあれば、早めに歯医者に通いましょう。
特におやつなどの甘い物に含まれる糖質(ショ糖)が、むし歯菌のエサとなります。糖質を分解する際に酸を発生し、歯質からCa(カルシウム)やP(リン)が溶けだしてしまい(脱灰)ます。通常はだ液の働きにより歯が元に戻ろう(再石灰化)としますが、「だらだらおやつを食べる」「歯磨きをすぐにしない」などの理由が重なりむし歯になるのです。
むし歯菌が糖質を分解する際に、酸を発生させます。すると、歯質のCa(カルシウム)やP(リン)などのミネラル成分が溶けだしてしまった状態を脱灰といいます。脱灰下部分は白く濁り、徐々に黄色や黒になっていきます。
だ液に含まれるCa(カルシウム)やP(リン)を歯に補うメカニズムを再石灰化といいます。お口の中で日常的に行われていますが、F(フッ素)を歯に塗布することで再石灰化を促してくれます。初期のむし歯であれば、再石灰化により治る可能性が高いため、定期的にフッ素塗布をして歯を強く育てていきましょう。
むし歯になりやすい環境を見直しましょう。「時間を決めずにおやつをだらだら食べる」「歯磨きを後回しにする」「仕上げ磨きをしていない」「甘い物ばかり好んで食べる」などむし歯のリスクを高めていないか注意しましょう。
特にお子さまのむし歯は歯の表面を覆うエナメル質という層が薄く、大人よりも早く進行します。しかし、初期の段階であれば、歯を削らずに治療ができます。むし歯の発見が遅れると、神経を抜く、抜歯をするといった必要もあるため、違和感があれば早めに歯医者に相談しましょう。
むし歯は、C0〜C4の段階にわけられます。それぞれの状態と治療法を解説します。
C0初期のむし歯
●C0の状態
歯が脱灰した状態です。歯に穴はあいていませんが、表面が白く濁りツヤがなくなります。痛み、しみるなどの自覚症状はありません。
●自宅でのお手入れ
フッ素入りの歯磨き粉を使用しましょう。フッ素の働きにより、歯の再石灰化を促してくれます。初期のむし歯であれば、歯を削ることなく再石灰化の力で歯を修復できる可能性が高くなります。歯医者での定期的なフッ素塗布も行いながら経過観察しましょう。
C1エナメル質のむし歯
●C1の症状
歯の表面(エナメル質)に穴があいた状態です。狭い範囲に穴があいており、色は黒や茶色に見えます。痛み、しみるなどの症状はまだありません。
●歯医者で行う治療
むし歯部分を削り、白いプラスチックの樹脂で穴を埋めていく(CR)治療をします。
●自宅でのお手入れ
歯磨きの仕方の見直しを行い、磨き残しに注意しましょう。お子さまの場合は、仕上げ磨きもします。
C2象牙質まで達したむし歯
●C2の症状
むし歯がエナメル質の奥にある象牙質まで到達した状態です。痛み、冷たいものがしみる症状があります。
●歯医者で行う治療
むし歯部分を削りプラスチックの樹脂で埋める(CR)治療をします。むし歯が広範囲の場合は、型取りをして被せ物を装着します。
●自宅でのお手入れ
歯磨きの仕方を見直し、磨き残しに注意しましょう。詰め物や被せ物をしたからといって二度とむし歯にならない訳ではありません。
C3歯の神経まで達したむし歯
●C3の症状
歯の神経までむし歯になった状態です。歯の表面の穴が大きくなくても、神経まで進行していることもあります。激しい痛み、冷たいものや温かいものにしみる症状があります。歯の根っこ部分に膿が溜まり、後に生えてくる永久歯にも悪影響(変色や歯並び)を及ぼします。
●歯医者で行う治療
歯を削り、神経を抜く治療(根管治療)を行います。その後、土台を立てて型取りを行い、被せ物を装着します。
●自宅でのお手入れ
治療中は、歯ブラシを強く当てないようにしましょう。仮の詰め物が取れて、再度細菌が感染する可能性があります。
C4歯の根っこだけが残ったむし歯
●C4の症状
歯の根っこだけがあるかないかという状態です。歯の頭の部分(冠)はほとんど残っておらず、神経も死んでしまい痛みを感じなくなります。歯の根っこ部分に膿が溜まっていると、痛みを引き起こします。
●歯医者で行う治療
ほとんどの場合歯の根っこ部分を残すことが困難になり、抜歯する可能性が高くなります。当院ではできるだけ歯を残せるように、マイクロスコープ(精密治療)で、歯の根っこの治療を行っています。
●自宅でのお手入れ
放置すると、全身の健康にも悪影響を及ぼすため早めに歯医者を受診しましょう。抜歯後は歯ぐきを刺激しないように他の歯を磨きましょう。
精密治療でできるだけ歯を残す治療を
むし歯が神経まで到達した場合は、神経を取って歯根の治療をしなくてはなりません。歯の根っこは、肉眼では見えない細い複雑な場所のため、マイクロスコープを用いて精密治療を行っています。精密治療を行うことで、治療回数などの患者さまの負担を減らすことやむし歯の細菌の取り残し、再度むし歯にかかることを防ぐことが可能です。できるだけ歯を残し、その後の生活も快適に送っていただけるように努めております。
むし歯を治療しても、再発することはあります。最初は小さなむし歯で削る量が少なかったのに、度重なる治療で結果的に抜歯になってしまうことを「リピーデット・レストレーションサイクル」といいます。このような負のサイクルから歯を守るためには、定期検診に通うことがおすすめです。もちろん、歯の治療をしていない方も、むし歯や歯周病になる前から予防・メンテナンスを行っておくことで歯を守ることができます。定期検診に通い、むし歯とは無縁の生活を送りましょう。